ぢばネットで知り合った方々のなかで,とくに原典の勉強に熱心で,当然PCにも精通している多くの人たちと協力しあって,おさしづDB(データベース)をつくろう,という話になりました。1994年の春ごろだったと記憶します。
 当初は,OCRを使うという実験もなされましたが,訂正作業にかなり手間取ることが予想されたし,入力作業そのものに意義を見いだすべきではないのか,おふでさきを墨書して製本するのと同様に,おさしづ本を謹写させていただいてお供えする,そういう意識で入力させてもらおうという意見があって,OCRのような機械で読みとる方法はとられませんでした。
 そのメンバーの一人,前田義公氏(maeda.gikou@jcom.home.ne.jp)は,プロのプログラマーで,この方が,専用の検索ソフトを作成してくださることになりました。こうして7,8人からスタート。さらに増員して作業をすすめて,全巻の入力・校正を重ねました。
 周知のようにおさしづ本は,現在市販されていませんので,おふでさきのように自由に配布するには問題があると考えました。ことにPCのファイルは,ビデオ・テープなどとはちがってコピーしてもその品質にはなんら変化がないので,どんどん増殖,氾濫する可能性をひめています。それはよい意味でもわるい意味でもPCデータの宿命であるとも言えるでしょうが,しかし,無責任な内容のおさしづを氾濫させることは,原典公刊にかけられた先人のご苦心をないがしろにすることにもなりかねないでしょう。また原典の曲解の原因をこしらえないとも限りません。
 こうしてDOS(MS-DOS)のアプリケーションとしての検索エンジンと,データ(おさしづのテキストファイル・暗号化)を一体化したものにまとめて提供・配布されました。検索エンジンはVer.3.10まで改訂を重ねました。その使い方から概略がうかがえます。使用手引きをご参照ください。
 Windowsユーザーのために,この検索エンジンをより使いやすくする企画が発案され,メンバーであった新田氏にお願いして,「おさしづ検索ソフト(QOSA)USER支援ソフト」を開発していただきました。コマンド入力になれないWindowsユーザーにも簡単におさしづ検索エンジンを操っていただけるように,との配慮からです。

 こうした配布版ユーザーは100を越え,サポートがむずかしくなりました。そこでインターネットWEB上で検索する形に移行しました。前述前田氏の発案・尽力の賜です。これによって,課題であった機種依存の問題が解決,これまで検索エンジンを使用できなかったMACユーザーの方にもおさしづ検索に携わっていただけるようになりました。
 現在,WEBでの公開は中止しています。ユーザーのデスクトップにサーバーソフト(アパッチ),WEB版検索エンジンもいっしょにインストールしてつかってもらう形に移行しました。詳細は、前田義公氏のサイトを参照してください。自家Webによる【おさしづ検索システム】紹介ページです。
 最後に,おさしづDBに添付しました凡例の一部を以下に紹介して,読者諸賢の参考に資したいと思います。
 
@ おさしづの用字―漢字について
 わたしたちがテキストとしたのは,いわゆる『おさしづ縮刷版』(全七巻)です。
 改修版おさしづの漢字は,ほとんど旧字体が使用されています。謹写に際しては,人名・地名も含めて,原則として新(略)字体を用いた。これは読みやすくするという理由だけでなく,検索するときの便宜も考慮した結果です。
 本おさしづ謹写テキストでは,日本アソシエーツ編『漢字異体字典』(1994年日外アソシエーツ/紀伊国屋書店発行)や金水敏氏の「 JIS異体字一覧itaiji.dic」を参考に,その新字体,旧字体,異体字の判断を行いました。
 
A 謹写フォーマット
 
改修版おさしづの本文は,原則として1ページ,1行37字*13行で構成されています。謹写に際しては,おさしづ本文のとおりに入力するよう心がけました。すなわち,本文の行末位置(38字目)に改行コード(0D0Ah)を挿入しました。割書も本文同様,行末に改行コードを入れました。ただし,割書の行頭には空白(スペース2121h)を挿入しています。これによって本文でないことを明示しています。
 各おさしづの冒頭にヘッダをつけています。ただし検索ソフトからはこれはみえません。
 1件のおさしづが終了した場合,その次の行頭に改行コードを挿入しました。すなわち,改行コードが二つ連続している箇所は,1件のおさしづ終了をあらわします。
 B JISにない字
 おさしづには,JISコード表にない字がいくつか出てきます。
 頻繁に登場するのは,繰り返し記号です。ここではそれに近い「/\」をあてました。ただし,これに濁点のついたものについては,「/\゛」としました。その結果これが含まれる行は,本文より一字増えることになりますが,やむを得ないと考えました。
 他に,以下の「■」(「臣」+「又」の下に「心」を書く字)と「」の2つの漢字があります。
  明治二十七年三月五日 夜十二時
   平群郡生駒村川久保重■長男鉄蔵二十四才願
  明治四十年三月二十六日
   藤江太郎二十七才宇野猶人妹きん二十六才結婚願(河原町部内大垣支教会長藤江,支教会役員宇野)
 これらいずれも人名で,「■」に「煕」を当てている本もあるが,正しいかどうかの判断ができませんでした。

 
C 割愛した部分
 今回,いわゆる「教会事情」(「おさしづ」第二巻以下,第六巻までの巻末に収録,第二巻以外は,割書を目次に収録されている。)は割愛させていただきました。
 
D 今後の課題
 今後の課題として,以下のようなことを考えています。
  1. 一件一件のおさしづに検索用のタグをつける。
    これによって,おさしづ本文に検索語が含まれていないおさしづをヒットさせられる。たとえば,本文に「出直」の語を含んでないが,内容的に出直を述べたおさしづがある場合,検索用タグとして「出直」を登録しておくと,ヒットさせることができる。
  2. 割愛した教会事情をその日付,割書とともに本文に挿入する。
  3. おさしづ旧刊本(八巻本)も入力して,相互参照できるようにする。
4
http://www.geocities.jp/hideout_s/Tenri/Ofudesaki/index.html
 PCを使った検索の利点
              今や原典研究には欠かせないツールとなりました

 今や原典の研究に検索ソフトは必須である,と言えるでしょう。こうしたソフト群について,筆者は,1997年に「教学研究におけるPC利用」(『天理教学研究』第35号所収)という一文を書きました。残念ながら筆者の怠慢から校正のミスなど多いのですが,その一部を加筆してここに掲げます。
 みかぐらうたは分量がそれほどおおくないので,索引がなくても,人間の記憶や印刷された本の各ページを繰ることで十分検索できます。しかし,おふでさきやおさしづになると,索引がどうしても必要にります。おふでさきは公刊されたときから,索引とともにあったし,おさしづも重厚な索引が出版され,使用されています。
 PCを使った検索では,索引本のそれと比べて,データを入力するのに手間がかかるというデメリットがありますがそれは最初の一回だけで,後は,それをみんなで共有できるのですから,メリットは大きいでしょう。その利点をあげれば次のようです。
  1. 効率よい,しかも完璧な検索ができる。該当する項目がどれほどたくさんあってもPCは音を上げることはないし,漏れ落ちなく抽出してくれる。
  2. その検索結果はファイルになるので,再入力の必要がない。したがって,確実な引用ができる。
  3. それを携帯端末機にいれておけば,どこへでも持ち運びができ,いつでもどこでもそのデータが読める,使える。
  4. データは,テキストファイルとなるので,たとえば,おさしづなど,それをもとに点字翻訳への足がかりができるし,弱視者のための拡大表示・印刷も行なえるだろう。音声合成ソフトによってPCに朗読させることもでき,障害者にも原典に接する機会を提供できるというメリットもでてくるだろう。
 4,天理教校学園高校求道部の人名索引


 1,おふでさき検索ソフト
 おふでさきのおうたを検索するシステムは,ずいぶん以前からつくられ,ユーザーのあいだに広く流布していました。「1711」という名前がつけられたこのソフトは,海外伝道部が,おふでさきを外国語に翻訳するさい利用すべく作成されたもののようで,DOSのアプリケーションとしてリリースされました。
 そのデータをもとに開発されたのが「おふでさき索引」です。当初は,これもDOSのアプリケーションでしたが,現在はWindows 95/98/ME/XP対応版になっています。『おふでさき検索 for Winodws Ver.6.0』。作者は新田建一郎氏(メール)です。
 表示可能なおふでさきは,原文とローマ字。検索対象おふでさきは,原文,ローマ字,漢字混じり,英語の四つから選べます。「上下の句」「何号何番」といった検索もできるし,当然「用語検索」もついています。検索対象に漢字混じりを選べば,表記の異なる語(たとえば,原文に「たまひい」とあるが,これを「魂」で検索できる)も,きっちりヒットさせることができます。また検索したおふでさきのお歌にカーソルをあわせるとその解説文(「おふでさき註釈」・『おふでさき通訳』からの引用)が参照できます。また解説文はテキスト形式なので,ユーザーによる追加・拡張も可能となっています。こちらにありますが,
データが含まれていませんので,ご注意ください。
 2,教祖伝・逸話篇,教典検索ソフトなど

 新田氏作の『稿本天理教教祖伝・逸話篇検索ソフト Ver.3.2』もある。『稿本天理教教祖伝』『稿本天理教教祖伝逸話篇』の索引も有用です。
 また同なじく新田氏作の『天理教教典検索』Ver.2.0。教典の語句が検索できます。さらに,『天理教用語集』Ver.2.0は「天理教用語」「教祖伝に登場する人物事典」で,上記『教祖伝・逸話篇検索ソフト』や『天理教教典検索ソフト』に内蔵されていて,いっしょに共用できます。
『おふでさき検索 for Windows Ver.6.0』の検索は,おうたの一首々々がその対象になっていているので,「一連のおうた」を検索できません。そういう検索をしようとするならば,おふでさきテキストをエディタで読み込んで,エディタの検索機能やGREPなどを使ってその箇所を明示させ,カットアンドペーストを実行すればいいだろう。

 このほか,テキストベースで出回っている教義関係ファイルは,上記「おふでさき」『稿本天理教教祖伝逸話篇』のほか,『天理教教典』『稿本天理教教祖伝』『おさしづ拝読の手引き』などがあります。また,教学とは直接関係ないのですが,祝詞用語集とか祭文作例集のようなものもあります。ほかにもたくさんあることが予想されます。

 さて,問題はおさしづです。その分量が多いので,電子化すればその活用度は,他の原典にくらべて,いっそう高くなるでしょう(おさしづのプレーン・テキストファイルの分量は,約4.2MB,圧縮すると1.6MB弱)。

。。。
 3,おさしづ検索ソフト
おふでさき検索 for Windows Ver.6 
http://gagaku.okunohosomichi.net/kensaku.htm
おふでさき検索 V.1.0.9 
 もっとグラフィカルで,複雑な検索もできるおふでさき検索ソフトがあります。『おふでさき検索』1.0.9。作者は,関英雄氏(メール)。こちら または こちらからDownlaodできます)。
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