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 天理教における教学あるいは神学的研究を言う。いわゆる天理教の“Theology”である。広い意味での宗教学の一分野として見ることもあるが,それにしても独自な視野に立った研究である。一般に神学研究(Theological Studies)がもつ学的性格ではあるが,それは信仰の内側からなされる,ないしは信仰を前提とした研究と言うべきものだからである。それは,みずから信ずるところを徹底して確かめ,あるいは信仰的実践の足場を固め,さらには布教・伝道という積極的な課題に応えようとする究明の過程であって,いわば信仰の自己確認と自己主張を目的として進められることになる。
 その目的を達成するために,いろいろな角度からの研究がなされるが,それを整理して,次に上げる四つの研究領域に分類することができる。天理教学は,それらの領域を包摂して進められる研究の総体である。(1)原典(「おふでさき」「みかぐらうた」「おさしづ」)の解題と注釈を課題とした研究領域で,原典学と呼ぶことができる。 (2)歴史学的研究の領域で,教祖の事歴の解明をはじめ,教会史,伝道史,教理史および伝承学などの研究がここに入る。歴史教学と呼ぶことができる。 (3)啓示的真理の体系的理解と説明をめざすもので,原典に即した正統的教説の定立を中心課題とした研究が進められる。教義学,倫理学などのほか,他からの思想的挑戦に対する弁証論なども,この中にふくまれる。 (4)信仰生活,信仰的実践に直接関わる事柄の究明を課題とする分野である。たとえば,教会学,布教伝道学,祭儀学,信条教育学とも言うべきものなどがこれに属する。実践教学と呼ぶことができる。
[参考文献]諸井慶徳「天理教神学序章―その輪郭と課題に就いて―」(『諸井慶徳著作集』第6巻,天理教道友社,昭和46年所収)。中島秀夫「天理教教学の概念と課題」(『天理教校論叢』第4号,昭和38年)。(P.591〜592)
 天理教学について 
天理大学おやさと研究所編『天理教事典』からの引用です